Top Page / His Performance Live / 2007年 / ピエール・バルー コンサート2007: カルネ・ド・ボール Carnet de bord 航海日誌

■ライブリポート(暫定版)

    ■第一部
    開演を告げる二度目のブザーが鳴り、照明が落ちたものの、ロビーでのちんどんの演奏のためか、席についていない観客がまだまだ大勢。サポートメンバーの演奏は始まり、ピエール・バルーさんはロビーの方から会場内に入り、そのままステージに上がる。 一曲目はいきなり「Samba Saravah」でした。マイアさんはタンバリンを叩きながらピエール・バルーさんとデュエット。途中でSaravahの意味について語っていました。 終始、マイアさんが通訳を務めながら進行していきました。 最後の方は近年追加された日本語詞の部分をマイアさんが歌いました。

    二曲目に入る前に、子供の頃。映画館にもぎりの人がいない間に入って見たマルセル・カルネ監督(Marcel Carne)の「悪魔が夜来る(Les Visiteurs du Soir)」の歌を伴奏なしで少し歌いました。この作品に出会って人生を変えたそうで、30まで定職につかず、詩人になって放浪していたそうです。 そして、「Le Petit Cine」(小さな映画館)。

    三曲目は新作からアルバム最後の曲「Crepuscule」(クレプスキュール)。

    そして次は「白い恋人達」に歌詞をつけた「Noel」。

    また新作から「Titine (Je cherche apr?s Titine)」

    日本語には無い言葉「L'Allegresse」(アレグレス)というタイトルの曲。 日本語では「歓喜」と訳されるようですが、いまひとつわかりませんでした。

    メンバー紹介を織り交ぜた「80 A. B.」はとても楽しそうでした。

    アルジェリアの伝統音楽と奄美大島の島唄とにインスパイアされたという歌はマイアさんのヴォーカル。

    「与那国島を知っているか?」、「日本人は日本を知らない。もっと日本人は日本を知るべきだ」とピエール・バルーさん。近年、北海道ツアーや九州ツアーもされたりもしていますが、1998年のアルバム「ITCHI GO ITCHI E(一期一会)」から「与那国」を歌いました。

    「Ca Va Ca Vient」では途中からちんどんブラス金魚が演奏に参加。

    次はフェデリコ・フェリーニに会わせたかったという戸川昌子さんを招きます。 戸川昌子さんはいきなり、両方とも右用の靴を履いてきたことを洩らします。 そして、新作でも再共演を果たした「Au Kabaret De La Derniere Chance」 (ラスト・チャンス・キャバレー)。 出だしがつかめず、やり直しをしたのもご愛嬌。マイアさんはサックスを演奏。 この曲で第一部は終わり、休憩となりました。

    ■休憩中
    ロビーでアコーディオンの演奏があったそうです。

    ■第二部
    高橋幸宏さんが第二部に半分の5曲ほどスペシャルゲストとして出演されました。 再び開演のブザーが鳴り、第二部が始まろうとすると、会場もステージもまだ暗い中、ステージ向かって左側から見慣れた帽子を被った高橋幸宏さんが登場。ステージ左にあるキーボード等がおかれているところに着席。

    まずは高橋幸宏さんとの最初のコラボレーション「花粉」を演奏。オリジナルより少しゆったりとした感じで、音もトロニカな感じ。日本語の部分を高橋幸宏さんが担当。 お約束の影響を受けた人たちの名前を呼ぶところは、ピエール・バルーさんのマイペースさのためか、今ひとつぎこちないもののご愛嬌です。

    次になんと高橋幸宏さんのファーストアルバムのタイトルトラックでもある 「Saravah!」。たしか、ピエール・バルーさんは高橋幸宏さんのファーストアルバムのタイトルが「Saravah!」ということは知っていたものの、最近まで聴いたことが無かった(忘れた?)ようですが。今回は今の高橋幸宏さんの感じで、時折ピエール・バルーさんの語りが入りました。

    続いてマイアさんとのデュエットで「おいしい水」。高橋幸宏さんはそのまま残って演奏に参加した後。一度退場。

    次はマイアさんの曲紹介で「仮面の夜」。こちらもお二人でデュエット。親子とはいえ、お二人の息のあったところは本当に素晴らしかった。

    そして、サプライズ・ゲストとは言え、後に事前にお名前を公表されていたカヒミ・カリィさんがマイアさんの紹介で登場。

    マイアさんが退場されたからか、カヒミ・カリィさんが通訳をして、「ずっとやっていなかった」と告げ、サプライズの「Un Homme Et Une Femme」(男と女)。 生ダバダバダが聴けるとは思いませんでした。(実は川原亜矢子さんの2004年発売のアルバム「So Nice」でデュエットされています!)

    そのまま次はたカヒミ・カリィさんと「水の中の環」。

    次は、ジャケットを脱いだ高橋幸宏さんが、今度はステージの向かって右から再び登場。 右側に置かれたもう一つのドラムセットに向かいました。そして「花粉」収録曲で加藤和彦さん作曲で、ジョルジュ・ブラッサンスに捧げたという「Pepe」。そして再び退場されました。

    そしてこのライブの当日が誕生日の人を会場から招きました。なんと4人もいらっしゃいました。マイアさんとピエール・バルーさんがその4人の両サイドにいて、「ラスト・チャンス・キャバレー」収録の「L'anniversaire(お誕生日)」を歌った後、コンサートのパンフレットをプレゼントされました。

    残り時間を確認した後後、新作「ダルトニアン」のタイトルトラックを演奏。 「ダルトニアン」とはフランス語で「色盲」のことだそうで、マイアさんはピエール・バルーさんが「色盲」だと言っていました。 そこには、「色盲である自分は目の前にいる人の肌が何色でも関係ない」という人種差別の無意味さをうたった歌なんだそうです。

    最後は「出会いの星」。ゲスト出演者も再度登場し、高橋幸宏さんも途中からキーボードのところに座り、演奏に参加していました。

    ピエール・バルーさん。マイアさん。ちんどんブラス金魚の面々は歌いながら舞台から降りて、日本語の歌詞の部分を観客に一緒に歌ってもらえるように歌声は次第に声を小さくしていきました。会場の後方から、ハイトーンの男性の歌声に導かれるように、決して大きな声にはなりませんでしたが、次第に観客も混じって最後は一緒に歌いました。

    ここで残念ながら時間切れ。最初から終了時間が決まっていたようで、アンコールは無くアナウンスの案内で終了しました。密度の濃い特別な一夜となりました。

    ■終演後
    しばらくするとホールにはピエール・バルーさんも出てこられ、マイアさんや息子さんなんかも出てきて挨拶をされていました。鈴木慶一さんもいて、ピエール・バルーさんと抱擁されていました。


■このライブについて

    ピエール・バルーの久しぶりの大きなコンサートが開催されます。 このコンサートに高橋幸宏さんもスペシャルゲストとして出演するそうです。

    1982年に立川直樹さんのプロデュースで制作された名作 「花粉(Le Pollen)」発表時に行われた芝郵便貯金ホールでのコンサートが初の大々的なコンサートだったそうです。それまでアルバムは数枚制作していたものの、当時は本国フランスでも大きなコンサートはやったことがなかったそうです。

    この芝郵便貯金ホールでのコンサートは 加藤和彦さん、高橋幸宏さん、清水靖晃さん、大空はるみさん、大貫妙子さん、そしてムーンライダーズの、 鈴木慶一さん、岡田徹さん、白井良明さん、武川雅寛さん、橿渕哲郎さん、鈴木博文さんという豪華なゲストの面々が参加。当時、ビデオ化もされました。

    このコンサートの成功から、翌年はパリでも清水靖晃さんとムーンライダーズを引き連れて凱旋公演を行っています。

    それから25年。その間には 日本とフランスを頻繁に行き来していて、国内外のアーティストとコラボレーションをしたり、ライブ活動をしたり、サラヴァ・レーベルの発掘音源をCD化したりと、様々な活動をしつつ、昨年、日本でのみ自伝を発表しましたが、大々的なコンサートは本当に久しぶりだそうです。

    なお、長年にわたって仕事上のパートナーでもあり、プライベートでは奥様でもある 潮田敦子バルーさんとの出会いは、その芝郵便貯金ホールのコンサートで通訳をされていたことがきっかけだそうです。

    そのお二人の間にできたマイア(まや・バルー)さんは、近年のライブにサポート出演されていますが、今回もサポートを勤めるそうです。


■開催概要

    ■ピエール・バルー コンサート2007『カルネ・ド・ボール Carnet de bord 航海日誌』
    出演:ピエール・バルー/ Pierre Barouh
    ジャン=ピエール・マス / Jean- Pierre Mas (piano)
    ヤヒロ トモヒロ(perc.)
    井野信義(Wood bass)
    マイア(Backing vocal & Flute)
    ちんどんブラス金魚(ちんどん)
    スペシャル・ゲスト:高橋幸宏
    日程:2007年9月17日(月・祝)
    場所:恵比寿ザ・ガーデンホール
    時間:16:00開場 17:00開演
    料金:8,400円(税込)